96-97 TDC年鑑 一般部門銀賞:トリスタン・プラニーコ

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1996-97 TDC賞



 

 

 

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昨年私は銅賞を受賞し、授賞式に参加しました。その時のことは記憶に残っています。それはちょうど桜の季節でした。授賞式の後、とても素敵な日本の伝統様式のレストランで過ごしたときのことです。そこはヨーロッパからは遠く離れていましたが、一緒にいた人達のおかげですぐそこの街角を曲がったところにいるような気がしました。現代では「距離」というものがもはや物理的な性質を持つのをやめ、単に感情的な尺度になったという考えを強く抱きました。浅葉氏は冗談まじりに「トリスタンと、彼が来年受賞する金賞を祝して」と私に祝杯を手向けてくれました。私は次のようなジョークで答えました。「来年受賞するのは銀賞です。そうすればその翌年に金賞をとるために東京に再びやってこれます」。今回私が本当に銀賞を受賞したことは信じられないことで、愉快なことでもあります。本当のところ、再びこのように受賞の栄誉に預かれるとは考えていませんでした。それは、私が私自身の仕事の質を疑っているからではなく、自分一人が唯一優秀なアーティストであるわけはないからです。ひょっとしてそれは、フィクションと現実との違いを消し去り、それを予言に変えてしまう日本流の誠実さなのかも知れません。一つだけお願いがあります。どうか新しい賞を設けてください。銀と金の間のような賞を。そうすることで私自身「完璧」に到達する時を遅らせることができますから。



Tristan Pranyko
'57年ユーゴスラビアのプラに生まれる。15才でドイツに移住、デザインを学ぶ。コンセプチュアル・アート作品で何度か賞を受賞した頃より、アート、ファッション、音楽、インテリア、製品デザインなど、異なるメディアの統合を目指す。多数の企業やプロジェクトのADの仕事に携わる中で、グラフィックに限定されたCIの拡大ではなく、製品や作品、そして表象的なアンビエント・デザインをリンクさせることで企業文化を作り上げることを実現。デザインの仕事を、画廊に「取るにたらないもの」を発表するポップアートの対極と位置づけ、全ての人や環境のためのアートであると考えている。「TDC年鑑95-96」銅賞受賞。